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SSI2164 3-pole State Variable Filter

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前々から SVF は作ってみたいなと思っていて、ちょうど SSI2164 のデータシートに 3-pole SVF の回路例があったので取り組むことにしました。
4-pole ほど “こってり” せず、2-pole より切れ味が良い音が個人的に好み。
手持ちの 4-pole LPF (V2044) と JAMMINGさんの2-pole SVFとも住み分けられ、バリエーション的にも丁度良いかなと。

ハードウェア仕様

  • サイズ:6HP
  • 電源:±12V
  • 入力
    • IN:0〜10Vpp 程度
    • FREQUENCY:4〜21kHz(低域側は RANGE で調整可)
    • FREQ CV:CV +5V 程度でピーク(FREQ DEPTH で調整)
    • VOCT:トリマ調整により 0〜+5V 範囲で V/OCT 対応
      • レゾナンス発振時に音程が取れる
  • RESONANCE:CV +5V 程度でピーク(RESO DEPTH で調整)
  • 出力
    • LP(切り替えスイッチ)
      • 3-pole (18dB/oct) LPF OUT
      • 2-pole (12dB/oct) LPF OUT
    • BP:2-pole Band Pass OUT
    • HP:3-pole High Pass OUT

データシート vs 実動作のすり合わせ

SSI2164のデータシートは オーディオ入力部・CV入力部の詳細が省略されてて具体的なところが見えないので調べてたら、作者本人のコメントがついている modwiggler のスレッドがありました。データシート、オリジナル回路、スレッドの言及から読み取ってみました。

参考リンク

各電圧範囲の読み解き

■ オーディオ入力電圧範囲

  • データシート:記載なし
  • オリジナル回路読み:等倍→等倍になるように構成されている
  • スレッド:特に言及なし

■ FREQUENCY CV 範囲

  • データシート翻訳:0〜2V → 約 22Hz 〜 22kHz
  • オリジナル回路読み:
    • FREQ は +2.7V あたりまで調整
    • 動作解釈:
      • FCVIN へ 0〜10V 入力 → 出力は 0〜-1.7V の範囲
      • 負電圧は受け付けない
      • オフセット調整を加算することを考えると…
      • 0Vが高域、電圧を上げると低域
  • スレッド:特に言及なし

■ RESONANCE CV 範囲

  • データシート翻訳:
    • 0V → ダンピング最大(最小共振)
    • 1.75V 以上 → ダンピング最小(最大共振)
  • オリジナル回路読み:
    • 10:1 で分圧して使用
    • 0V〜10V → 0〜0.9V 程度
  • スレッド:
    • 1.019V でレゾナンス最大
    • データシートの値は間違いだと作者が回答

という感じで大体見えてきたものの、オーディオ入力の電圧範囲がまだ不明なのもあり、確認のため試作基板を作りました。

試作基板での実測と調整

■ オーディオ入力電圧範囲

  • 入力は 2〜3Vpp あたりにするのがレゾナンスの発振音とのミックス具合が丁度よさそう
  • 出力は入力レベルまで戻すとレゾナンスの発振との位相差でハードクリップする

色々検討して、

  • 入力を 0.32 倍
  • 出力で 3 倍

として、原音レベルに近くしつつクリップは“味”として残す構成にしました。

  • ■ FREQUENCY CV 範囲
  • ■ RESONANCE CV 範囲

これらはスレッドの言及やオリジナル回路読みの推測と一致したので、定数を入力CVの最大値から決めました。


回路図

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完成基板 & 実装

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基板は 4HP に収まるサイズでしたが、パネルのインターフェースの関係で 6HP になりました。VOCT または RESO CV、さらに RESO DEPTH か LP3/2 スイッチを省けば 4HP 版も作れそう。


感想

3-pole ローパスは元々好みで期待通りの音。レゾナンスをグイッと効かせると程よく歪んで良い感じです。2-pole BP、3-pole HP も切れ味が良く気持ちいい。発振させれば V/OCT対応のサイン波 VCO としても遊べてとても良い。これは一度作ってみてほしいかも。
2-poleでレゾナンスCV不要なら2つ回路が余るから、ひとつはVCA、ひとつはLFO、ついでにディケイエンベロープ追加してひとつのモジュールで出力部分を完結したりも出来そうだなーとちょっと思ったり。


余談:52HP ケースに収めた

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構成

  • AS3340 VCO ×2
  • CMOS 555 EG ×2
  • SSI2164 VCA ×2
  • SSI2164 3-pole SVF ×1
  • 3ch + 2ch Offset Attenuverter Mixer
  • RP2040 App Module ×2

いわゆる“普通のアナログシンセ構成”に、デジタルモジュールを 2 つ追加した感じ。
ランダムCV / タップGATE、Dual Digital VCLFO を入れてあるので、このケースだけで完結して遊べます。

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