
ロジックICでVCO
やろうやろうと思って2年くらい放置してたCD40106 VCOを作りました。
回路
回路のコアはシュミットトリガインバーターICのCD40106をオシレーターにするタイプ。
4000番系は+12Vを直に入れても大丈夫なICでシンプルな回路で動くようになるので自作ユーロラックモジュールとしても人気っぽい。
このVCO、74HC14で作るCMOS VCOの派生?でCD40106を作ったMark Shaner氏のが最初のようです。
今回はその派生と思われるMoritz Klein氏(Erica SynthのEDU DIY VCO)とさらにその派生のBenjie Jiao氏のMiniOSCも参考にしました。

パーツ集めの難易度もそこまで高くないはず。40106はマルツやデジキーで取り扱いがありますね。
Exp入力回路+40106のノコギリ波コア+バッファあたりまでは同じで、その後ろを少し改造しているイメージです。
ひとつめはノコギリ波→三角波コンバーター回路。
これは幾つか候補を見つけたんですが、ここのスレッドの回路が追加しました。三角波の山と谷をいい感じに合成してるんですが、素人の私には目からうろこ……継ぎ目で出るパルスが谷側の頂点からでてきて小さいので結果的に結構綺麗な三角波になります。
この三角波コンバーター、元となるノコギリ波をOPAMPで演算させて調整トリマーで三角波にバランスさせるんですが、
ノコギリ波+三角波 ⇔ 三角波 ⇔ ノコギリ波+矩形波
という変化が音作りに使えるので、パネル上に出して可変出来るようにしました。
組み立て
シミュレーションで先に試しつつブレボで確認。
LTSpiceとかKicadの回路シミュレーション、よく覚えてなくて面倒くさいのもあってFalstadが便利。
当初は2VCOにしたいなーと思いを巡らせてましたが、サーミスタの温度補償とトランジスタの温度変化によるレンジの変化をブレボで観るのは厳しいなぁと考えて、拙作のブレボモジュラー基板に移植してみることに。


トランジスタは脚を良い感じに加工してます。
NTCサーミスタはV/OCTとCoarseは出来るだけ近くによせました。FineとFMはこのとき配置出来てないのですが、基板で組んだ時になるだけ近くに配置しました。



完成
ブレボの配線どおりに(一部は詰め直したりして)完成。
取り付けていないノブやジャックの穴はとりあえず黒のマステでふさいで、白のマステに割り当て機能を書いてパネルも完成。

裏面はこんな。

動作確認
ケースに組み込んで電源入れて、20分くらい待って基板の周囲温度が温まって安定してくる頃合いにV/OCTのレンジをトリマーで調整したら完成。
トランジスタとサーミスタだけで結構正確にV/OCTをトレースしてくれてる感じだけど、5オクターブ以上は厳しくなってくる感じ。
ケース内温度が落ち切っているコールドスタート状態だと前回使用時の基音から半音~1音近く下がってるので電源投入直後から最低でも10分くらいは置いておくのがいいのかも。
サーミスタはトランジスタの温度変化に追従してV/OCTの設定レンジの変化を抑えるためのもので、基音そのものは温度によって変化する感じ。
それに比べAS3340はコールドスタートからでも(数セント程度はズレてるけど)前回とほぼ同じ音程で出る。流石。
出音の方は、AS3340 VCOを比較すると、CD40106のほうがSAWもSQUAREも若干ファットな感じがする。
エッジの立ち方が鋭いからかな?画像はSAW波形を拡大したもの。黄色が40106。

波形
どれも680Hzあたりでの測定。100Hz以下の低速域になるとノコギリ波と三角波は少しカーブが付くけど痩せた音の感じはしない。


三角波コンバータの調整ノブ中央付近。
作例としてすぐに見つかる三角波コンバータは継ぎ目にパルスが盛大に出てきてて、それはそれで音のクセとしては面白いんだけど汎用性にちょっと欠けるなという印象で、こちらのほうが素直な波形を出す上に部品点数も少なくて、今回のVCOモジュールとの相性もいい感じです。

三角波コンバータの調整ノブCCW方向。低域が強調されたノコギリ波のような感じ

三角波コンバータの調整ノブCW方向。中低域に矩形波みを感じるノコギリ波のような感じ

感想
シンプルな回路でV/OCTに対応したVCOが出来てしまうのが面白いですね。
ノコギリ波だけでよければオペアンプは2回路。
矩形波入れるならプラス2回路。
三角波でもう2回路。
ダイオードクリップのサイン波形コンバータを追加するならもう1,2個。
って感じでオペアンプのコンバーターを増やせば波形を増やせます。
Sync入れたり、リニアFMを追加したり、V/OCT入力回路の前をOPAMPにするなどの工夫も色々出来る。
また、40106は6回路ぶんあるので横に同じのを増やして2VCO、3VCO…と出来るんですよね。
ただし隣接回路の影響を受けやすく波形が揺れるのでキャパシタなどで対策しても2,3VCOまでが上限かな(というのをどこかで見ました)
40106使わずオペアンプかコンパレータでシュミットトリガー回路を組んであげたら良いかなとも思ったんですが今回は実験せず。そのうちそのうち…
作ってる最中は2VCOにして8HPか…1VCOで4HPサイズが良いか…と考えてたけど、これをしばらく使って気が向いたら作ろうかな。今使ってる8HPのAS3340VCOも調整機構省いて4HPサイズに収まらないかな…あら、やりたいことがまた…
デモ
次の記事と共用になりますが…
これは三角波コンバータで矩形波+ノコギリ波にして演奏。
最近作った組で遊んでる ClockDiv+GateORでトリガーパターンを作ったりS&Hのホールドタイミングを変えたりS&Hに流し込むVCOの周波数変えたりしてフレーズに変化を与えて遊ぶ #diyeurorack https://t.co/HXve4P9ARR
— 𓊬 ᙢᗩᖇḰ 𓊬 (@marksard) October 25, 2026
こっちは冒頭、三角波のシェイパーの変化を聞くことができます。
VCLFO+S&H+NOISE GEN.モジュール出来た(中央) 40106VCO(中央左)とResonantLPG(中央右)のフィルタ+EGとを繋いで鳴らす。 正負対応のクオンタイザー(画面外)にS&Hを通して音程を制御。 40106の左のVCOをS&Hソースにして、後半は外してノイズでS&H。 #diyeurorack https://t.co/o8mfF3UBEK
— 𓊬 ᙢᗩᖇḰ 𓊬 (@marksard) October 21, 2026