この記事は 「自作キーボード Advent Calendar 2018」その1(3まであるよ!)の17日目の記事です。
自キ沼に溺れていた一年
#自作キーボード pic.twitter.com/ZG0u33ZkZB
— まーく⌨️ (@marksard) 2018年11月13日
今年は自作キーボードの沼にどっぷりハマってしまいました。キーボードを買う、キーキャップを買う、キーボードを買う…という再帰から抜けでせないまま自分で基板作りもはじめてしまい…実用的なキーボードとして出来上がったのがRhymestoneとTreadstone48です。今回はTreadstone48をなぜ作ったかについて書いてみようと思います。
1.25U~2.25Uのキーキャップって、実はカッコいいのでは
元々無刻印派だった私がHelixを作って刻印派に宗旨替え、続いてcrkbd、JJ40、25キーテンキーパッドに40キー分割型試作キーボードと立て続けに作ってると、キーキャップが全然足りなくなります。そのたびキーキャップを買っていましたが、レジェンド(文字)のある1Uのキーキャップはそれほど選択肢がないこと、デザインやカラーを選ぶとお財布にまったくやさしくないという現実に直面します。妥協してAliなどでANSI104に1Uのノベルティキーキャップ(アイコン・ロゴなどが刻印されている)を追加して買ったりもしましたけど、それでもやっぱり選択肢は少ないです。
そんな感じであーでもないこーでもないとキーキャップを探す旅を続けてましたが、ある日ついにGMK LaserのCyberDeck(ANSI104セット)とノベルティセットを買ってしまいました。手持ちのHelixやJJ40やcrkbdに付けてそのカッコよさに惚れ惚れしましたが、余った1.25U~2.25Uもそのシャープな造形と色やデザインがカッコよくこれを使わないのはモッタイナイ!と思い、Ortholinearで最低限欲しいモデファイアキーを並べてみると…
ortholinearで104keyキーキャップを使いたいの図 pic.twitter.com/cbj60hAuHc
— まーく⌨️ (@marksard) 2018年10月15日
あまりカッコいいものではない…なにかもうちょっと工夫してキレイにおさめたい…
ここでふと以前から少し考えていたことが頭をよぎりました。
キーボードの押しにくいキー、押しやすいキー
一般的なキーボードの配列はタイプライターを起源とする、左上起点とすると右に0.25U、0.5Uずつずれた配置になっています。これはRow Staggered(斜交配列)と呼ばれていますが打鍵してみると…
「BとYが打ちにくい、でもTとNは打ちやすい」
といったように、右方向にずれているためホームポジションからの移動の量が違うので打ちやすさに差が出来てしまっています。Ortholinearだとそれが平均化しますが、逆に今度はTとNが少し遠くなったように感じます。Column Staggeredの場合は別の問題として小指の指の長さの影響の方が大きくなってホームポジションに置く際の指の曲げ具合が神経質になりやすいです。
なので、単純にOrtholinearをベースにTとBをFキーに、YとNをJキーに近づけた配列が良いのではないか?という案を考えていたのです。
あわせてみた
ということで、OrtholinearをベースにTとBをFキーに、YとNをJキーに近づけて配置し、最低限欲しいもでファイアキーをANSI104のサイズで並べてみたのがこちら。
指の長さの差分を抑えるために少し曲げて内側に寝かせて手を置くと思うんだけど、そう考えると実はこういうrowstaggerdのが良いんじゃないかと考えた。
— まーく⌨️ (@marksard) 2018年10月16日
ANSI104のキーキャップがそのまま使えるようにしたのもトピック pic.twitter.com/LGPNKx6RxK
キーキャップのプロファイルによってはRowの高さが変わるので、それも考慮して配置を最適化…
この前出してたやつはキャップのRを考えると良くないのでRを加味してリファイン
— まーく⌨️ (@marksard) 2018年10月18日
左上のスペースにpromicro置くイメージ(あくまでイメージ)
結構長いしPCBのお値段やいかに。。。 pic.twitter.com/HWsEenUeME
ところどころ隙間がありますがだいたいキレイに並びました。最低限欲しいキーも揃うしANSIのキーキャップに対応するしいい感じに出来そうというのが見えてきました。
左上の隙間はpromicroがギリギリ収まりそう、ということでpromicro置き場にしました。左下は角をカット。右の矢印キーとEnter下の隙間はそのままにしています。
この仕様で試作機を検証後、さらにモデファイアの配置パターンにバリエーションを持たせられるようにしました。
この前拡張案書いてたけど、再検討してみると穴がいっぱい空くとプレートの強度が心配になってきたうえに下が透けて意図せぬ場所からLEDの光が漏れるのが美しくないので中止しましたすみません。最終的にはバリエーションはこんな感じに落ち着きそう pic.twitter.com/7p0tejEYIF
— まーく⌨️ (@marksard) 2018年11月25日
これがリリース版となります。
仕様
ざっと仕様を。
- Irregular Row Stagegrd 47 or 48keys
- Supports ANSI104 Keycaps
- Supports Cherry MX swithes or compatibe switches.
- Supports Kailh MX keyswitch sockets
- Supports Underglow LEDs
- Supports extension keypad (Rhymestone connected as numpad and dual use)
コンセプトはこれまでに書いたANSI104モデファイアキーへの自然な対応と、新たな配列の提案です。Taihaoのカラフルでダブルショットでお安いものやFilco、Archisiteなどで販売しているキーキャップなどもモデファイアキーを気兼ねなく使えるのでキーキャップを使える範囲はぐっと広くなります。それでいてOrtholinearに近い使い心地です。
Kailh MXソケットに対応しておくと、スイッチを交換したり、lubeしたり、PCBとトッププレートをバラせるのも利点。
UnderGrowのみでスイッチ毎のLEDに対応しなかったのは、自分が普段透過型のキーキャップを使わないため、UnderGrowで3mmのアクリルクリアのボトムプレートの淵を光らせているほうがよりカッコいいのではないかという意図からです。
あと拡張で4x5の格子配列のRhymestoneを繋いでUSBポートを塞ぐことなくキーパッドとして使えるようにしてみました。
所感
作るところはビルドガイドとして別途書きますのでそのうちに…
デザインについて
ANSI104のモデファイアがほぼキレイに収まります。
※一部の写真は試作機のものもあります。
“GMK Laser(Cherryプロファイル)”
“FILCO Majestouch専用104英語配列・2色成型カスタムキーキャップセット紺/白(SAプロファイル)”
“Taihao 104 Key ABS Double Shot Keycap Set ノーチラスカラー(Cherryプロファイル)”
“KBDFuns MDA BigBone(MDAプロファイル)”
ボトムはクリアアクリル3mmです。アクリル端がビシッと光っています。最初の試作機ではLED付近にマスキングテープを貼って導光具合を調整して、リリース版ではレーザー彫刻で一部の光を反射させることで導光しています。
機能について
Rhymestoneについてもそのうち書こうと思いますが、拡張パッドとしてTRRSケーブルを介して接続出来ます。デフォルトで用意したのは普段はテンキーパッド、デフォルトレイヤー切り替えでRhymestoneのQWERTY配列マップになって疑似スプリットキーボードとして使えるようになっています。
Treadstone48を二台繋げると物理キー96キーぶん使うことも可能ですが…
配列について
私個人は長身で手が大きいと思うので参考にはなりにくいかもしれませんが、文字キーを打つ限りはほぼほぼ手首を机に置きっぱなしで打鍵できます。一体型Ortholinearキーボードで感じた窮屈感もなく、型と肘の位置は普通のTKL(テンキーレス)キーボードのそれより少しゆったり出来るかなといった具合です。
強いて言えば通常のANSI104キーと比較してShiftキーの位置が1U左に移動しているので、手の大きい私でもShift+Tの打鍵時は少し遠いかなと感じます。ただこの辺はスペースバーにShift機能を兼務させたり、右Shiftキーを矢印キーあたりで兼務させると良い感じになるのではと思います。
まとめ
試作機を作ってからはメインでこれを使用していますがコンパクトにまとまっていてお気に入りです。机に工具やパーツをひろげて何か作り始めても邪魔になることなく、一体型なので移動しやすくて重宝してます。
テンキーパッドを付けると使いやすさがぐっと上がりますし、私の環境だとPCのUSBポートからケーブルを引っ張ってこなくてよいぶん配線がスッキリします。
販売します!
これを少量ではありますが近日、準備完了次第BOOTHにて販売いたします! もしこの記事を見て気になる方はBOOTHのほうへお越しください。
これから
先日あれだけ買わないわーと思っていたGlabBagを購入してしまい、キーキャップを付けるキーボードが無いというステートに移行します。なのでまだしばらくは沼でおぼれてそうです。
PCB設計のほうもGBしていたトラックボールモジュールを活用するキーボードを作りたいし、Biaccoさんのアドカレ記事モジュラーなキーボードアーキテクチャを求めてのModuloアーキテクチャなキーボードの設計もしてみたいし、3Dプリンタを楽しんでみたいしと色々やりたいことがあります。
来年KUMOとPlanck rev.6が来るし、susuwatariも来るし…
明日はあぷろさんの記事「スプリットスペースバーが最高だと言う事」です!
俺たちのENDGAMEへの戦いはこれからだ…!
(この記事はHelix: switch[KailhPro/Speed&Cherryのリニア/タクタイルMix + tokyo marui lube済] cap:[MDA Big bang]と、Treadstone48: switch[KailhPro/Speedのリニア/タクタイルMix + kylox lube済] cap:[MDA Big bone]の二機種で書きました)